これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

私が“妻”を結婚相手に決めた理由

妻という円の中には、隙間が見受けられた。


私は、その隙間に気付き、
その隙間を埋めてあげないといけない人だと思った。


そのためには、まず結婚しないといけないと思った。


付き合い始めてから結婚するまで、
結婚することについて、
私も迷っていないが、妻の方も迷っていないように見えた。


さらに言えば、
“私に出会えた喜び”が、
妻から私に静かに伝わるのを感じていた。


そして、38歳で、私は迷うことなく、妻と結婚することが出来た。


妻は、自閉症の1つである「アスペルガー症候群」だった。
(病院の診断は受けていないが、特性特徴がそうであったため、
ネット内のチェックリストから判断。妻も認めている)


極端な言い方をすれば、
妻がアスペルガーでなかったら、私の心は動かなかったと思う。


アスペルガーである妻は、出来ないことがたくさんあった。


時に、妻に対してイライラすることもあったが、
アスペルガーしか持ち得ない大きな長所が、
私の心を癒やしてくれていた。


スウェーデンの環境活動家である当時16歳だった少女が、
2019年の国連気候行動サミットで、
「政治家や起業家は気候変動に対し行動するふりをしながら、
会社のPRをするばかり」
という辛辣な言葉で世界のリーダーを批判した。
また、若者の集会での、
「世界のリーダーたちは、まるで子供のように振る舞っています。
だから、私たちが大人にならなければいけません」
という表現も、アスペルガーらしいと思った。


一般の人にとって、その独特の、感情的なスピーチや表情を見せられ、
この少女に対して、批判的な意見も多くあったようだ。


私は、ニュースで、たまたま、その少女の姿を見て、
その時は、ただ何となく、亡き妻の雰囲気によく似ているなとだけ思った。


その後、その少女は、
自分が「アスペルガー症候群」だということを公表した。


それを知って、
「ああ、それでか」と納得した。


英雄に多く見られる特徴に自己顕示欲があるが、
アスペルガーの場合は、思っていることを、
中に留めておく抑止が効かないため、
特に激しい言動が外に出ることがある。


自己顕示欲は持ち合わせていなく、ただ純粋なのだ。


彼女は、こういうことも言っている。
「子供のままでもいたい。子供の人生はシンプルなので」
妻も、同じようなことを思っていたかも知れない。


「イカれた10代の子供として見られているかもしれない」
とも言っている。
こういう表現の仕方も妻にどこか似ている。


そして、「アスペルガーは才能」とも言っている。
全く、同感である。


この少女を見ることで、
妻が持っていた雰囲気、佇まいを思い出し
私の心は癒やされる。


隙間が埋まらないうちに、妻は死んでしまった。


妻の心の隙間を埋めようとした私であったが、
自身の心に隙間が出来てしまった。

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