これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

妻と私の物語

外を歩いていると、前方に
夫婦と思われる80歳くらいの二人が歩いているのが見えた。


杖をついているご主人を奥さんが支えながら歩いている。
歩き方から、ご主人はだいぶ体が弱ってるように見える。


それを支えながら歩いている奥さんも、
ご主人と同じように体が弱っているように見えた。


そういうお二人なので、足を地面に擦るように歩いており、
ちょっとずつしか進まないため、すぐに追いついた。


最初は、お二人を、「大変だなあ」と思って見ていたが、
しばらくして、比較という感情が表出してきた。


体が不自由であっても夫婦、
普通のスピードで歩けていても一人、


どちらがいいかと聞かれたら、そりゃあ夫婦がいいに決まっている。


たくさんの思い出を共有している相手がすぐ横にいる情景。
一方、私の場合は、
思い出はあっても、それを共有する相手がいない現実の中にいる。



若いカップルと比べて、老夫婦の場合は、
姿は老いてしまっていて、ビジュアル的には決して美しくはないが、
若いカップルにはない歴史と熟成感が重みを感じさせ、
お二人が主演の物語を作り出している感じがする。


一人だと、思い出を物語に編集するのは難しい。


支え合ってる姿は、見ていて美しい。


一人だと、
“支え合う”という言葉は、存在しなくなる。


80歳位まで、二人でいられたら、
“思い出”を消化することが出来たはずなのに。


今、消化されていない“思い出”が心の中に残っており、
胃もたれではなく、心もたれとなっている。


二人で見るはずだった“妻と私の物語”は、
今は、私一人で、寂しく見ることになった。

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