これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

笑いのツボ 妻との相性

なぜ私はこれほどまでに妻が好きだったのだろうか。


妻を思う時、よくこのことを考える。


私は、独身の時、
結婚相手に求める条件が、頭の中に何となくあった。
妻はその条件に合わない点が多かった


私の好みは、
細身の人よりも、少しぽっちゃりした人
明るく誰とでもうまくやっていける人
テキパキと物事をこなす人
出来れば、料理がうまい人


しかし、妻は
身長161㎝ 体重42㎏程でとても細い 細すぎ
こだわりが強く、人とのコミュニケーションがとても苦手
不器用で、かつ、何しろ動作がゆっくり
料理のほか家事のほとんどをやらない


であった。


会社の人や友人に、妻について、話す場面があったとき、
聞いた相手のほとんどが、マイナス評価を下していた。
相手によっては「そんな奥さん、俺は御免こうむるな」とまで
言う人もいた。


言葉で表現すると、こんな妻だったが、


私は、初めて妻に会った瞬間、
「今まで付き合った人とは何か違う」という感覚を覚えた。
その時反応した気持ち に忠実に従って、結婚へと進んでいった。


頭で考えるのではなく、肌で感じるまま進んでいった。


それは、結果として正解だった。


妻との相性について、振り返って考えてみた時、


妻とは “笑いのツボ” が合っていたように思う。


笑っている時、人間は、心の鎧が取り除かれて、良い意味で無防備になるみたいだ。
二人の “笑いのツボ” が合っていたことで、
無理しないで自然な形で生活を送ることが出来たし。
安心して喧嘩も出来た。


「素のままで大丈夫ですよ」という免許証を受け取った感じだった。


“私の笑いを誘おうとする” 妻の言動の中から、
思い出せたものを以下に挙げてみた。


妻は私の部屋に入って来て、私の顔をまじまじと見ながら
「飽きないのよね~」と言うことが何回かあった。
この言動が、私に取ってはおかしかった。


私の方も、妻に対して24年半の結婚生活の間、
“飽きた”という感覚がよぎることは一度も無かった。


テレビの野生動物が出る番組で、
“イボイノシイイが必死で走る姿”を見て、妻はよく笑っていた
私もその姿は面白いと思った。


個性的なおばちゃんの言動を見たり
ユニークなキャラクターのユニークな発言を見ると
面白そうに笑っていた。
何気ない人の仕草を見て、その面白さに反応するところは、私も同じだった。


私が鏡で自分の姿を見ていると、
背後のベッドに寝転がっている妻は、
「後ろから見ると、クレヨンしんちゃんみたいやな~」とか
「後ろから見ると、ちっちゃい男の子みたいやな~」
とか言って声を発していた。
こういう発想で言葉が出ることに、感心するし、おかしかった。


私の視界の範囲内にある廊下にしゃがんで
「座敷わらし」などと言って、
私の笑いを誘おうとする。
その姿が、本当におかしかった。


こういうのを見て、「そんなにおかしいとは思わない」という人もいるだろうが、
私はおかしかった。


私たちは、“おかしさ”を共有していた。
これが二人の相性の良さに繋がっていたのだと思う。

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