これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

癌 告知から亡くなるまで 妻と過ごした137日 ㉓

9月29日
朝、5時半、妻は桃ゼリーを食べ、水を飲み、鏡で自分の姿を数秒見た後、水洗いを行なった。
私は、その日、アルバイトに出かけた。


9月30日
10時 もう一人の主治医である女医さんより電話があり、話をした。
妻はあとどの位生きられるかを聞いたところ、
「そう長くはなく、明日亡くなることもあり得る」と答えた。


16時「○○さん、お願い」という妻の助けの求めに応じて、妻を抱き起こした。
妻はトイレに行った。
すしを食べた。


10月1日
朝、シャツの着替えのため、妻を抱き起こした。


外で、長時間カラスが鳴いている。
うるさい。


11時50分、妻は息苦しさを訴え、主治医に電話した。
足がむくんでいることも、先生に伝えた。


13時30分、妻の呼吸が荒くなっている。


「カーテンもっと締めて。人に見られるから」と言うので
私はカーテンを閉めた。


恐怖心からか、精神が不安定になっているように見える。


妻は、義母から送られて来た梨を少し食べた。


17時40分、妻は薬を服薬した。


10月2日
5時50分 トイレヘ行きたい妻をベッドの上で抱き起こした。
妻に紫色の薬MSコンチン1錠を渡そうとすると、
妻、「それ、違う薬ではないか」
私、「いや、違わない」
もう一つの薬を見せる。
妻は納得する。


6時30分 妻は「コンコン」と咳をしている。


フルーツヨーグルトを食べようとしている。
妻、「スプーン取って」


妻はサインペンで遺書を書くと言い、
妻が話して、私が代筆した。
内容は、延命治療はしないという内容だ。
日付と名前だけは本人が書いた。


8時半頃、私はアルバイトに出かけた。
14時頃、主治医から私の携帯に電話が入り、
「奥様の残された命は、数日と思われます。」と告げられた。


急遽、私は、アルバイトは取りやめて帰宅することにした。
今後は、外に出ることはせず、ずっと妻に寄り添うことに決めた。


10月3日
4時10分、
妻、「主治医に、昨日書いた遺書を見せてください。」
(妻ははっきり話せなくなっており、何とか聞き取れた。)


4時20分
妻、「死にたい。先生に遺書を見せてください」
私、「今日夕方、先生が来るから見せるよ」
妻、「今がいい」
私、「いや、もう少し待ってね。」


妻に不安の兆候が見受けられる。



朝、妻は自分でお起き上がれなくなっており、
アップルジュースを飲ませてくれるよう私に頼んできた。


おちょこサイズのグラスにジュースを入れ、
妻を抱きかかえるようにしながら、
4回くらいに分けて、少しずつ妻の口にジュースを注いでいった。
さらに、コーヒー小グラス一杯を飲ませてあげた。


妻は満足して、再び横になった。


13時 妻が再び、アップルジュースを飲ませてと言うので、
朝と同じように、小さなグラスで、ジュースを妻の口に注いだ。
「まだいる?」聞くと、妻は小さくうなずいた。
もう一度グラスにジュースを入れ、妻に飲ませた。


病気に対して何もしてあげられないことで、
私は、妻に対して申し訳なさを感じていた。


このような小さなことであっても、
妻に愛情を注げられる時間をもらえたことが嬉しかった。


妻の方も、
これが私から受けることが出来る最後の愛情だと思っているためか、
一口一口をかみしめるように、飲んでいた。


短い時間だが、妻と私が一体になった穏やかで幸せな時間だった。


妻の携帯に、義姉からメールが入ってきた。
状態の確認と、主人が手術(命には影響しない)をすることに
なっていることなどが書かれていた。


夕方、ヘルパーさんと、ケアマネージャーの I さんが来て、
おむつ替えと、ヘルパーとの介護契約を交わした。


妻は、今度は水が飲みたいというので、抱きかかえながら、
飲ませてあげた。



17時~ 主治医の往診があった。
血圧 90/64 脈拍 85/分 経皮的動脈血酸素飽和度 (SPO2)98%


妻 「起き上がれないので、昨日の夕方から薬は飲めていません。
   延命処置はせず、苦しくないように、眠らせてください。」


昨日書いた遺書を、私は先生に見せた。


【主治医のアドバイス】
日曜日から見てもかなり体力低下が進行しています。
痛み止めの内服が出来ないので、貼り薬の痛み止めを開始します。
日数単位で体力低下が進行しています。
あまり体を動かさないようにして、軽く体位変換する程度にして下さい。
恐らく数日以内の旅立ちが予想されますので、
ご本人の苦痛が無いよう見守りをお願いします。



夜、私は、妻にR-1ヨーグルトを飲ませてあげた。
しばらくして、再び抱きかかえて、水を飲ませてあげた。


妻が亡くなるまで、あと 3日

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