これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

公園にて

私は時々公園へ行く。


新聞や本を読むことや、
バイト先への報告を、iPadで入力・送信したりする目的で、
利用している。


この日は、バイト先への報告を入力するため、公園へ向かった。
家から、3分くらいで到着する。


狭く窮屈な部屋の中より、自然の中の開放的な中で作業する方が、
気持ちがいいのでそうしている。


公園に入ってすぐ、
小さな自転車に乗った、小さな女の子が
私の前を通過する場面があった。


すれ違いざま、
女の子が私の方を向いて、「こんにちは」と挨拶した。
私は、慌てて「こんにちは」と返したが、
イッテンポ遅れの返答だったので
女の子の背中越しに返すことになった。


広い公園なので、ベンチはたくさんあるが、
私は公園の端っこゾーンのベンチを選んだ。


木が覆い茂っており、日陰で作業がし易いし、
子供はすべてメインのゾーンで遊んでいるため、
うるさくない。


入力作業をしていると、
挨拶を交わした女の子が、私がいるところまで自転車で来て、
何か独り言をつぶやきながら目の前を通り過ぎ、
Uターンして、メインのゾーンへ戻って行った。


しばらくして、
また、その女の子がやって来て、
私を見て、「あっ、まだいる」と言いながら通り過ぎ、
同じようにUターンして戻って行った。


そして、
再びその女の子が自転車でやって来て
今度は、通り過ぎずに、目の前で止まった。


そして「何してるの?」と話しかけてきた。
私は「お仕事」と答えた。


すると、女の子は、私の目をしっかり見て、
「私、何歳に見える」と質問してきた。


私は、子供がいないので、小さな子供の年齢がピンとこない。
「うーん」と言って返事に少し間が空いたところを突いて、
女の子の方から「7歳」と答えた。


もう少し下かと思ったのだが、少し意外だった。


女の子は、なぜ年齢を聞いてきたのだろう。
年が低く見られがちなのを気にしているのかも知れない。


見知らぬおじさんに聞いて、客観的な目で見てどうなのか
知りたかったのかもしれない


私が、「7歳か・・。1年生かな? 」と言うと、
女の子は、中途半端なうなずき方をした。
もしかしたら、2年生だったのかも知れない。


私は、入力作業に早く戻りたかったので、
多少、素っ気ない答え方をしていた。


そして、女の子は多くの人がいるメインのゾーンへ戻って行った。


女の子が去った後、
私の頭の中に、「もしかして」という思いが走った。


「あの子は妻だったのでは」と。


そして、女の子がいる方向に目をやった。


すると、女の子の傍で、
彼女を見守っている風に見える若い男性が目に入った。


父親なのかなと思った。
遠くなので、表情が分からないが、おそらくそうだろう。


結局、少し好奇心のある、普通の女の子だったということか。


「妻ではないか」という一方的な期待は、
簡単に消え去った。


普通に考えたら、
そんな希望を抱いてしまう私というのは、
間違いなく“変な人のカテゴリー”に入るだろう。


暗闇の中で、
一筋の光を探し続けている自分がいる。

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