これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

 木曜日の1日

木曜日、いつものようにテニススクールに行った。


レッスンが始まるまでの間、ベンチで座って待っていると、
時々、このクラスに振り替え受講してくる40代後半に見える女性が、
他の女性と会話をしていて、その内容が耳に入ってきた。


最初、子供の話をしていて、
私は、何となく聞いているという感じだった。


途中から、兄の話になり、
「転勤が多い人だったが、数ヶ月前に1人で亡くなった」と
話しているのが耳に入った。
私は、耳を立てて、聞き始めた。


この人は40代後半に見えるから、
亡くなったお兄さんは、50代前半くらいだったのかなあ と推測したりした。


いつも元気に話をする人なのだが、
この話をする時も、同じように明るい感じで話していた。


しかし、私は、
その明るいしゃべりの奥にある悲しい感情を感じ取っていた。


「兄」と「妻」という関係性の違いはあるが、
身近な人の死別経験者ということで、
同じ仲間とまでは言わないが、近い存在だとは思った。


そして、ご主人のダメなところの話になったところで。
レッスン開始となった。


私は、他のメンバーから、どう見られているのだろう。
雰囲気から、一人住まいと見られているかもしれないが、
「死別により一人になった」 とは見られていないかもしれない。


テニスが終わり、シャワーを浴びた後、着替えて、
自転車に乗ろうとした瞬間、スマホの着信音が鳴った。
電話は、関西に住んでいる大学の同級生のKからだった。


彼は、年に1、2回出張で東京に来ることがあり、
仕事を終えて関西に帰る前に、いつも私に電話をしてくる。


「今、新橋にいて、15時まで時間があるので、会えないか」
という電話だった。


現在、12時。
急いで向かっても、新橋に着くのが13時半になることを伝え、会うことになった。
彼は、いつも当日急に「会おう」と言ってくる。


こちらも都合というものがあり、
仕事においては、このようなアポの取り方は許されないが、
彼は、私と会う約束を取る時、なぜか、このパターンを変えない。


彼は、
「妻の話」を目一杯しても大丈夫な、貴重な友人だ。
現在、週4日勤務で、地質調査会社に勤務しているとのことだった。


彼は、大学時代、山岳部だった。
山は、平地より天に近いため、
山を愛する人は、“死”とか“命”の話に、寛容なのだろうか
と、勝手な想像をしている。


駅前の喫茶店で、1時間半ほど、話をして、
彼は帰って行った。

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