「魂でもいいから、そばにいて」
私は以前から、新聞は毎日読み、
テレビは、経済番組やドキュメンタリー番組をよく見ていたが、
本を読むことはあまりなかった。
たまに読むのは、ハウツーものなどで、
人生をいかにより良く生きるか
という観点で選んでいた。
今は、その手の本は、全く関心が無いというか、
必要がなくなった。
時々、図書館に行っているが、
ジャンル分けした本棚で、
人生ハウツー関係のところは素通りして、
哲学・心理学・倫理学・宗教関係の本棚の前に立ち、
「不思議体験」に関する本を探すようになっている。
以前なら、自分に全く関係がなく、興味もなかった分野だ。
先日、
東日本大震災のあった被災地での、
「不思議な体験」を取材した内容の本を読んだ。
著者であるノンフィクション作家は、
震災の翌年、在宅緩和医と何度か会う機会があった。
仙台で二千人以上を看取りながら、
自身も余命十ヶ月宣告を受けた在宅緩和医だ。
その医師から聞いたのが、
患者の四十二%が、「お迎え現象」体験しているという話だった。
著者は「不思議体験」に興味を持ちはじめ、
本を書くことなったそうだ。
内容は、16の不思議体験が紹介されている。
その体験者のほとんどが、この体験を他の人には話していない。
わかってもらえない孤独感を味わいたくないからだろう。
16の体験談に共通する点がある。
大切な人を亡くした人が、
この「不思議現象」を体験することで
生きる活力を少し取り戻していること。
それは、魂の存在を求めているからに他ならない。
まさに、書名「魂でもいいから、そばにいて」だ。
更に、共通点として
家族を助けられなかった後悔が今でも尾を引いていること。
そして、
亡き人が夢に出るタイミングが、偶然とは思えない点にある。
なかなか見つからなかった遺体が
見つかる直前、亡き人が夢に出てくる点などだ。
夢は、脳内で起こる現象とも考えられる。
ただの偶然か、
見えないものが作用しているのか、
答えを知ることは出来ない。
このような体験談は、
普通の人には、信じにくい話になるかも知れませんが、
大切な人を亡くした者にとって、
不思議体験は
「今を生きる意味」を蘇らせてくれるものとなります。