喪失感と向き合う
妻が亡くなった後、
食事はいつも遺骨箱の前で、とっている
日により大小はあるが、その時、必ず喪失感を感じる。
例外なく喪失感が出るのは、朝起きた時と、この食事の時だ。
遺骨箱の前で、
妻を亡くした一人の男が食事をしているその姿は、
何ともわびしい姿に違いない。
私は、結婚前の独身の時も同じく、一人で食事をしていた。
風景としては、同じだ。
しかし、その時の食事中に哀愁感はなかった。
その時は、大切なものを得る前であり、
失うもの自体、持っていなかったためだ。
今は、大切なものを失っている。
“大切に思うものを持っていた過去”と、“持っていない今”との
比較状況が作られてしまい、
その落差が、喪失感を生むことになった。
この落差さえ解消すれば、
喪失感にかられることはなくなるのだろうが、
そのためには、過去に遡って、妻と出会わないようにするか、
今後、妻が蘇ることしかない。
それは、難しいではなく、無理な話だ。
“喪失感”がなくならないことはわかったので、
次は、喪失感の形を変えてみることを、
試みてみたい。