癌 告知から亡くなるまで 妻と過ごした137日 ⑥
6月1日、在宅医院の先生が
男性のヘルパーといっしょに初めて訪れた。
血圧を測って、問診をして、約15分で終わった。
痛みを抑える MSコンチン錠10mg
気分を落ち着かせる 吐き気を抑える ノバミン錠5mg
肛門部の炎症を抑える ネリプロクト軟膏
が処方された。
その後、くすりを受け取るため調剤薬局まで2人で6分ほど歩いた。
いつものように、妻は私の手を握ってきた。
2人で歩くとき、妻は必ずそうしてくる。
家に戻って、妻は週刊誌を数冊買ってきて読み始めた。
「精神的に気高い人はホスピスで聖書を聞かされたりする。
私は週刊誌の方がいい。
病気でなければこの生活天国なのに。」と言った。
6月2日、朝、「蝉、いつも4時50分なのに間違って4時20分の時があった。
馬鹿だねえ。」と言った。
先日、時間通りに鳴き始める蝉を褒めていたのに、今日は蝉を馬鹿にした。
「これから広い部屋で過ごせていいねえ。私は引退します。」
表現が面白い人で、いっしょにいて飽きない。
今住んでいるマンションは1LDKで、2人で住むには少し狭い。
妻が亡くなって私が1人になった時のことを言っているのだが
確かに独り暮らしになって、生活スペース的には快適になったが、
狭くても、2人でいる方が、幸せであることは至極当然だ。
6月3日、今日も妻は部屋の整理を行った。
妻の右足下内側に赤い斑点が出てきた。
痛み止め薬の影響だろうか?