これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

心の慣性の法則

電車の中を進行方向に歩いていて、
電車が動き出すと、
元の位置にとどまろうとする体と、
関係なく前へ進む電車との位置のずれが生じて、
体の安定が失われ、ぐらつく。


これが慣性の法則だ。


この法則の説明は、物理的な現象でなされることが多いが、


心理的な現象においても、
慣性の法則が成り立つようだ。


人は、今までの状況を維持することに執着して、
以前の状態が続くことを願う


コロナ禍の生活で考えると、


自粛生活を強いられた時期は、
それまでの、“アウトドア生活”が懐かしく思え、


コロナ終息の兆しがある今、
“おうち生活”に体が適応するようになったこともあり、
今度は、“インドア生活”が懐かしく思える時が、おそらく来ると思う。


状況の変化が、慣性の法則を呼び起こし、人の心に作用し始める。


人間一度経験してしまうと、そこに郷愁というものが生まれ、
そのままであり続けたいという気持ちになり、
状況変化に抵抗しようとする。


私の場合、
妻との生活を経験したことで、
“慣性の法則”により、
その時期に回帰したいという思いが生ずる。


“過去の生活”と、“今の生活”を比べて、
“過去の生活”への郷愁が高まり、
心は過去へと飛ぶ。


「過去の妻との生活」は、
私の心を温かくしてくれると同時に、
冷たいものも運んでくる。


4年経ち、こういうことにも慣れて来た。


今の私は、
過去を“肯定”して、今を“否定”している。


出来れば、今を肯定したいところだが、
それは、まだ難しい。


慣性の法則から、逃れるだけの力が、
まだ備わっていないから。

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