これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

妻の同級生への電話

私は、結婚する以前の妻の姿形を知らない。


写真があれば、見ることが出来たのだが、
過去の写真は全部捨てた と妻から聞いていたので、
妻の10代、20代の姿形を知ることなしにここまで来た。


今後、妻を想って生きていくうえで、
妻と生活した24年半の思い出だけでなく、
“私と出会う前の妻”についても、知っておきたいと思った。


そこで、“学生時代の妻”を知る方法が、頭に浮かんだ。


妻の出身校は、今年で創立93年の高校で、
全卒業生を対象とした同窓会が定期的に行なわれている。
妻も、生前は時々出席していた。


ネットで調べて見て、
同窓会事務所があることが分かった。


そこに電話をして、
妻の同級生を紹介してもらい、
その人と話をすることが出来れば、
高校時代の妻について、何かを知ることが出来ると思った。


それで、10月15日に電話をしてみた。


電話に出た事務局の女性に、
妻は亡くなり、私はその夫であること と、
電話の目的を伝えた。


その方は、卒業名簿から妻が在籍していたクラスを調べてくれて、
妻の同級生に、事務局の理事をしている男性がいることが分かり、
その方にこちらの意向を伝えてみる と言ってくれた。


その後、私の携帯への電話はなく、半分諦めていた。


12月16日に、スマホ販売店で、購入相談をしている時、
ショートメールの開き方を教えてもらう場面があり、
開いてみた。
(私は「ショートメール」について、名前は知っていたが、
それが、どういうものかは、ここまで、知らずにいた)


受信履歴を見ると、
妻の同級生だというHさん(女性)から、
「20時以降なら電話に出られます」という
メッセージが届いているのを知った。
受信日を見ると、10月17日だった。


2ヶ月間、ほったらかしにしたことになる。


その後、
ホットメールに記載された電話番号に、何度かかけてみたが、
いつも留守電になっていて、繋がらない。


わざと出ないのではないかと思ったりもした。


再び、同窓会事務所に電話をして、連絡してもらうと、
Hさんから、メールが来た。


12月25日に電話をすると、Hさんの声が電話先から聞こえた。
おそらく出ないだろうと思ってかけたため、
声を聞いて、少々あわてた。


15分くらい、いい雰囲気で話をすることが出来た。


妻について、
おっとりしているけど、中身は面白いところもあったということ、
妻が付き合っていた男性 さんのこと、
男子生徒が行なった人気投票で、
妻と、もう一人のかわいい女性とが1,2番だったこと、
ラグビー部のマネージャーをしていたこと 等を
聞くことが出来た。


ラグビー部のマネージャーをしていたことは、
妻の口から1度だけ聞いたことがあり、
その時は、
表に出たがらない性格からのあまりのギャップに、
「へえ~」という感じだったが、
「本当だったんだ」と思った。


私が、
妻と付き合ったことがある I さんについて


私たちの結婚式に出席していたこと、
毎年、妻宛に年賀状が来ていたこと、
妻の余命宣告を知り、「自分に出来ることは何でもしたい」
というショックを隠せない内容のメールが妻宛に来ていたこと 等を話すと、


Hさんが「私、結婚式に出席していたんですよ」と言った。
私は、「えっ、それは失礼しました」と言って謝った。


最後に、
「妻が写っている写真をお持ちならば、
私のスマホで、それを撮らせていただきたいのですが」と、お願いした。


「探してみます」という返答をいただいた。


私が、電話で妻への想いを語っている途中、
Hさんの鼻をすする音が電話先から聞こえ、その後、
「ずっと想っていられるのですね」と小さな声で言われた。


一時的ではあっても、共感していただいたことは、嬉しかった。

×

非ログインユーザーとして返信する