これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

妻を軸にした生活

22日水曜
遺骨覆(骨壺を収めた箱にかぶせる袋)の側面と前面上部縁部分が、
汚れで黒くなって来た。


毎日、朝起きた時、寝る時、出かける時、家に戻った時、
遺骨箱を擦りながらの声掛けしているためだ。


取り替えようと、
自転車で10分ほどのところにある葬儀社へ行き、
購入した。2200円だった。


変更を嫌うことの多かった妻だが、
きれいなものに変えてあげたい という私の思いは、
分かってもらえると思う。


遺骨覆を用意している間、
担当の30歳前後の女の人と、15分くらい話をした。
ほとんど、私が話していて、その内容は、妻の話だった。


話を終えた後、
その担当者は、「奥さんとの仲の良さが伝わってきます」と言った。


人に物事を伝えるのが、あまり上手くない私でも、
妻の話であれば、15分であっても伝わるのだと思った。
言葉に心が入っていることが、伝える力になっているのだろう。


23日木曜
6年ほど使用し、充電が1日しか持たなくなっているスマホを買い替えるため、
販売店に行った。来年早々契約することになった。


24日金曜
1ヶ月に1度、新宿中村屋のカレーを食べるため、新宿に行っている。


今日は、クリスマスイブ。
せっかく新宿に来たのだから、
伊勢丹の地下にあるケーキ店で、
妻のためにショートケーキを買うことにした。


現役時代、勤めていた会社が新宿にあったことから、
妻のためにケーキを買って帰る場合、いつも、この店で買っていた。


何年かぶりの購入となる。                                                  


地下のケーキ店のコーナーでは、どの店も列が出来ていて、
私は、目的の店で並ぶことにした。


ケーキの受け渡し時、
店員が、私に聞かずに「スプーンを2つ入れますね」と言った。
1つでいいのに。


そして、新宿中村屋でカレーを食べた。
何回食べても飽きない味だ。


人生をジェットコースターに例えて、
いいことが続いた後には、“底”が待っており、
逆に、
大きな“底”の後には、大きな“喜び”が控えている


という「人を元気づける話」をよく聞くが、
その通りだと思う反面、
残念ながら、私には当てはまらないと思っている。


私の場合、
“妻が亡くなる”という、下の岩盤にまで到達するほどの大底を
4年前に、経験している。


反転して、浮上するには、
そうなるための要因があることが条件となる。


その要因を持たない私は、
“底”の範囲内での、上下にとどまるであろう。


死別経験者の中には、浮上する要因を持っている人もいるので、
誰もが、“底”のままという訳ではないだろう。


私にとって、
姿はなくとも、今でも、生活の軸が妻であることには変わりがない。


今後も、“心が底の範囲内での生活”が続くと思うが、
それでも、“妻を軸にした生活”をすることで、
ほんの少しではあるが、充実感を覚える毎日を過ごせている。

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