これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

昇格した妻

ニュースで、コロナ禍での、はとバスの現状を紹介していた。
ツアー「ゼロ」期間がのべ7ヶ月に及んでいるという。
バスガイドの一部はアパレルショップに出向し店員として働いている。


東京駅の前に停車している黄色のバスが映し出されていた。


これを見て、過去が蘇ってしまった。


妻とは、このバスに何度も乗った。
年に4回くらいのペースで、全て日帰りツアーだった。


私が、ほぼ連休が取れない部署だったので、
日帰りにならざるを得なかった。
行き先のほとんどが関東で、一度だけ仙台に行った記憶がある。


そのため、パンフレットに掲載された関東方面のツアーの中で、
行っていないところは、わずかになっていた。


妻にとって、このツアーは特別な一日だったように見えた。


朝6時頃に家を出ても、十分に間に合うのだが、
妻は5時頃に家を出ることにこだわるので、私はそれに合せた。


バスは7時頃出発、観光を終え、家に着くのがだいたい夜の9時頃だった。
妻にとって、この日は、
私にずっとくっついていられる日だった。


歩いている時、妻は必ず私の手を握りしめていた。


その状態の時、
妻のことを愛しい人と思うとともに、
守らなければならない人だという思いを更に強くした。


妻は、一定期間が過ぎると、はとバスツアーのパンフレットを持ち帰り、
私に旅行を促していた。


どのツアーにするかは、
私は、どこでもよかったのだが、
妻も、観光そのものにはほとんど関心を持っておらず、決めようとしないので、
しょうがなく、私が決めていた。


妻にとって、
二人で行動することに意義があったのだ。


そういう妻の気持ちが伝わってきて、
私も自然と心地よい気分になっていた。


旅行で撮った写真がパソコンの中に、たくさん残っている。
全く整理がなされておらず、早めに整理したい。


写っているほとんどが妻であり、私はわずかしか写っていない。
妻20に対し、私が1の割合だ。


まるで、
私より先に妻が亡くなるのを予感して、
妻の姿を出来るだけ多く残そうとしたかのようだ。


守りたいと思う人が、一時期であっても私の傍にいたことは、
幸せなことだ。
私の命の何倍も大切な命を持った人が、
傍にいたということは、幸せなことだ。


もっと一緒にいたかったが、
神様は何を思ったか、妻を私から引き離した。


神様の判断ミスか。


ミスを説明しないで逃げ切ろうとするところは、政治家と同類か。


そういうことではなく、
妻は、昇格して、天に召されたということなのか。

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