これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

“人間”に生まれて

自転車で走っている時、
洋菓子店の前に設置されているベンチに座って会話をしている
若いカップルが目に入った。


男女が仲良くしている光景は、やはりいいもんだと思った。


自分には、もう経験出来ないことなのだが、
嫉妬という感情は出てこない。


人間だけでなく、動物、鳥であっても、
その光景は、同様にいいものだ。


その洋菓子店を、通り過ぎた後、
私は、変なことを考えた。


なぜ生き物は、男と女に分けられるのだろう。


子孫を残すためという答えは、間違っていないと思うが、
情緒がない。


ゾウリムシのように、
性はあっても、オス・メスの区別がない生物もいるにはいる。


ただ、それでは、感情の機微を感じることは出来ないはずだ。


人間は、男女が感情の及ぼし合いが出来る高度な生き物だ。


妻と私は、
感情を持つ人間に生まれ、出会い、日々繋がりを感じつつ生活した。


しかし、それは、24年半で終わりを告げた。


相手がいなくなると、
今度は逆に、高度な感情が悪い方に働き、
心に“重し”を乗っけてくる。


こうなると、ゾウリムシのような単細胞生物はいいな 
 という考えが一瞬よぎる。


とは言っても、
妻も私も、
女として、男として人間に生まれ、
感情のやり取りが出来た。


「いい人生だった」と結論付けていいだろう。

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