これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

1993年版手帳

近くにあるオフィスビルが、一般に開放している外空間がある。


そこは、小さなテーブルがたくさん置かれていて、
誰でも利用出来る。


日陰になっており、風も吹くので、そこそこ涼しい。


家から歩いて数分で行けるので、私はここをよく利用している。


先日は、過去の手帳 数冊を持ち出して、ここで整理をした。


持ち出した手帳は、1900年から2001年のもの。


1991年と1992年のものは無かった。


私が最初に見たかったのが、結婚式を挙げた年のもので。
溯って計算すると、1993年ということになる。


持ち出した中に、この年のものがあることが分った。


早速、その手帳を開く。
まず、私達が結婚式を挙げた4月18日のページを開く。
1日の時間軸が印刷されており、
そこには結婚式とだけ書かれていた。


この手帳は、会社から社員に配られたもののため、
書かれている内容は、仕事のスケジュールや仕事の内容がほとんどだ。


土日にだけ、プライベートの予定だけが書かれてあった。


それでも、29年前の結婚式前後の記録は貴重なので、
1枚1枚めくりながら、記録を見ていった。


平日は、○○さん(妻)へTell という記載が多く、
土日は、妻との待ち合わせ時間と場所だけが書かれたものが多かった。


3月から4月にかけて、
結婚式の打ち合わせのため、
横浜にあるホテルに、何度も2人で行っている。


また、妻の実家に行っている記録も残されていた。


結婚式の後、このホテルに1泊して、
翌日から、3日間の新婚旅行に出かけた。


( 私の車で山梨を廻っている。
私は海外を考えていたのだが、
飛行機がダメだ と妻が言うので、このような旅行になった。


しかし、5年後、会社を辞めた後、
次に決まっている会社への初出社までの空いた期間に、
2人で香港旅行に行っている。


飛行機の件があったので、
ダメ元で、香港旅行を妻に切り出したら、すぐにOKが出た。
5年前の、「飛行機に乗れない」 という妻の言葉は何だったのだろう。)


1月から12月まで、1ページずつ目を通していき、1993年版は終了した。


ページをめくっている間、
私の頭と体は、手帳の中に吸い込まれ、
周りが見えない状態であった。


しかし、一度だけ周りに目をやった場面があった。


ハトが1羽舞い降りてきて、私の近くをウロウロ歩き廻った。
その歩いている様が、滑稽で可愛らしく、妻のようにも見えた。


私のテーブルの周辺に座っている人はいなく、
私も食べ物を食べている訳ではないので、
いくら粘っても食べ物は出ないのに、
15分くらいウロウロし続けた。


その後、今度はスズメが舞い降りてきて、近くをぴょんぴょんと跳ねて廻った。
これが5分くらい。
スズメは体が小さいので、こういう動きはかわいくて面白い。


これらの動きを横目で見ながら、手帳を見続けた。


猛暑の中、
1993年版の手帳と、2種類の鳥の動き をチラチラと見た1時間半だった。

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