夫婦
町を歩いている時や、スーパーで買い物をしている時に、
連れ添って行動している夫婦が、目に入ってくる。
20代から80代まで、様々だ。
20代から50代の夫婦に対しては、サラッと見るだけになる。
この年代おける夫婦生活は既に経験済みで、
私にとっては、「過去」に当たる。
60代以上と思われる夫婦に対しては、
二人の会話の様子、お互いの相手を見る目などを、観察してしまう。
その理由は、
この年代における夫婦生活は私にとって未経験であり、
経験出来なくなったものへの執着なのかもしれない。
60代の夫婦を見ると、
妻が生きていたら、私たちは、こんな感じになっていたのかなあ
と思いながら見る。
私にとって、「今」に当たる。
先日、スーパーで、
レジを終え、サッカー台のところに行くと、
隣に70代と思われるの夫婦がいた。
奥さんが一生懸命無言でたくさんの購入品をバッグに入れていて、
主人は、隣で、それを手助けすることなく黙って立っていた。
会社員時代、それなりの役職で働いた後、退職し、
家事は、全部奥さんに任せている感じで、昔型の夫のように見えた。
でも、夫婦関係は良好である感じが伝わって来た。
私たち夫婦とは少し違う感じだが、
私たち夫婦の数年後にあたる夫婦であった。
80代のおじいさん、おばあさんの場合は、
20年ほど先をイメージすることになり、より想像力が必要になるが、
60代、70代の夫婦を見た時よりも、
悲しい気持ちになる。
私は、
80歳代を、私たちの夫婦生活の仕上げの時期と考えていた。
余分なことは考える必要はなく、
妻と二人だけの、ゆっくりした時間を共有し、
それまでの二人で作った人生を、語り合い、
私の人生の中で、最も充実した時期になると予想していた。
それだけに、この年代の夫婦を見ると、
他の年代の夫婦を見る時とは、違った感情が生じる。
経験出来なくなった年代の真っ白なキャンパスに、
何を描けばいいか。
やっはり、妻を描くしかないだろう。