これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

本能

テレビで聞いたのか、新聞のコラムで見たのか忘れたが、


アルツハイマーの人に2回来てもらい、好きな絵を聞いたら
同じ絵を選んだ。


これは、どういうことだろう。


記憶や思考能力が傷害されたとしても、
その人の本能は変わることなく、
美意識は保たれる ということなのだろう。


絵ではなく人に対しても、本人の持つ相手に対する美意識は
維持されると考えられる。


「相手を好きになる」、「自分に合っている」 と感じるのは、
”本能” のなせる技 なのかもしれない。


本能からではなく、
頭で考え、意識的に選んだ相手に対しては、
何か外から衝撃が加わると、相手に対する美意識は、
もろくも崩れることがあるのではないか。


しかし、
本能が作り上げた美意識は、簡単には崩れないと考える。
なぜなら、”本能”は、その人がもともと持っているもので、
意識と違って、普遍性があると思うので。


もし、私がアルツハイマー病になり、無表情になったとしても、
妻の写真を見せられると、
表情筋が緩み、微笑みを浮かべる気がする。


妻と私は、
本能で繋がっていた関係だったような気がする。
そのことが、相手に対する気持ちが ぶれなかった理由になる。


言ってみれば、安定した関係だったと言えるだろう。


今の私が、
何か不足していると感じているのは、
この”安定” の不足によるものと考える。


また、
本能は、
五感に敏感に反応して、
幸せを確かめるためにあるものと考える。


五感を感じる対象が目の前から消えると、
本能が活躍する場面もなくなってしまう。


そういうことで、
私は、愛情の飢餓状態に陥っているといえる。


このポッカリと空いた穴を埋めるには、
”妻の思い出” だけでは、力不足だ。


何か追加でそういうものを見つけ出したい。


今のところ、見つけ出せていない。

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