これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

癌 告知から亡くなるまで 妻と過ごした137日 ⑯

2017年
7月24日、私は、「アルバイトの帰りに100円ショップで買ってくるように」
と妻から頼まれていた「目覚まし時計」を購入した。


妻は、同じものを何個も買おうとするところがある。これで目覚まし時計は5~6個目だ。
私から見れば、必要ではないと思うのだが、
それを本人に言うと怒りだすので、言わないことにしていた。


このような行為は、自閉症には見えない自閉症と言われる “アスペルガー症候群”
であることが影響しているのではないかと考える。


こだわりのある事や物に固執し、繰り返し同じ行動をするところが
アスペルガーの特徴のひとつのようだ。


7月25日、10時30分、主治医の訪問診療があった。
妻は酸素吸入器の相談をした。
体の数値が正常であるため、もう少し様子を見ることになった。
レンタルした場合は月17,000円。


昼、妻に頼まれ、マンション1階にある100均でジュースを10本買い、冷蔵庫に入れた。


薬(MSコンチン、ノバミン、オプソ、リーゼ)別の金額が調剤明細書に、
書いてなかったので、
それを聞くために、夕方、調剤薬局へ行った。
調剤師は、納得のいく説明をしてくれた。


妻が食べられるものが限られてきたため、
私はネットで“やわらか食”を提供している会社を調べた。、
そして、請求していた3社からパンフレットが届いた


夜、私はトマトを今までより細かく切って妻に出した。
妻は残さず全部食べた。


7月26日、午前4時30分、妻はカーテンを開け、薬を服用した。


5時、妻「ありがとね。最高の人と出会った。」
私「こちらも結婚して良かったと思っている」
妻「えっ、嬉しいわ。」
(だんだんと ろれつが回らなくなってきているが、今日は、張りのある口調で答えてきた)


昼、私はテレビでも紹介されたことがある、T葬儀社に電話をかけた。
そして、妻が亡くなった時の手続きや流れについて問い合せた。
妻の希望する“火葬式”だと、178,000円。


夕方、
いずれ部屋に置くことになるミニ骨壺の色について、当初、妻はシルバー色を希望していたが
冷たい感じがするということで取りやめ、
「のらちゃんが選んでほしい」と私に言って来た。


自転車で10分位の所にそのショウルームがあることを知り、
事前にそのサンプルを見るためにそこへ行った。


妻は主治医に電話をして、
薬(MSコンチン)を8時間おきから12時間おきの服用に変更することを確認した。


20時、妻の上半身がすごく痩せてきているのが気になる。


7月27日、午前4時50分、妻はいつものように薬を服用した。。


7月31日、妻は、細くなっている自分の腕が気になるのか、ちょこちょこ腕を見ている。
肩甲骨のところに、くぼみが出来るくらい痩せてきている。
もともと弱々しい外見なのに、その姿を見て、かわいそうでならなかった。
助けたいが、為す術がない。
同時に、何かに対する怒りもこみ上げてきた。


17時30分、
妻が言った。
「ガンになったタイミングも良かった。
のらちゃんが体力のある状態で看取ってくれるし。
神様が決めたのだろう。結婚出来てよかった。
のらちゃん大変なのに私の身の回りの世話やってもらっていいの?」
と、
当たり前じゃないかと思う事を、妻は真顔で私に聞く。


妻はいつも、一歩、いや、二歩自分を引いて私に接してくる。
(妻のこだわりに反することを、私がやった時を除いて・・・)


私は答えた。
「その人の死の形、時期はすでに神様が決めているはず。
体が弱いのに今までよく頑張っていろいろやってくれた。
今やっていることは、まだまだ足りないけれど、そのお返しですよ。」と。


私は妻が元気な時、この様な感謝の気持ちを妻に伝えたり、
褒めたりすることが少なかったように思える。


感謝の気持ちは心の中に常に持っていたのだが、言葉に出して言うことをしなかった。
このことは、後悔のうちのひとつになっている..


妻が亡くなるまで、あと 68 日

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