これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

 在宅介護

妻は何をするにもお公家さんのような動きで、
今の時代ではゆっくりすぎる人だった。
不器用で要領も悪い人だった。


がん告知後、妻は迷わず在宅介護を選択した。


集団的な対応をされる病院を選ばないことは、
妻の性格から予想された。


ある調査では、終末期に在宅介護を希望する人は71%だが、
実際に自宅で亡くなる人の割合は10%前半だそうだ。
妻はその少ない割合の亡くなり方だった。


決めた後は急に人が変わったように
テキパキと終末期の準備を始めた。


まず、在宅医院一覧表を近くの大きな病院で
もらってきて、すぐに医院を決め


ゴミ屋敷のような自分の部屋を急に片付けはじめ
テキパキと捨てるものを選別して


自分が映画を見るために契約していた
スカパーの解約手続きに手をつけ始め


2つ持っていた銀行の通帳の解約のために、
数日後には銀行に手続きに行った。


ほんの少しの預金の受け取り人をすべて私にする
という遺言まで一枚の紙に書き残した。


まるで事前に心の準備していたような手際の良さだった。


妻は家事をしない人だったが、洗濯だけは100%やっていた。


洗濯ものの量に対する洗剤の量などをメモして私に説明した。
説明を受けるほどのことでもないとは思ったが、
一生懸命説明する様子を見て涙が出そうになり、
こちらも一生懸命聞いてあげた。


自宅での介護だったが


自分の今までの人生の中で、
最も全力を尽くし、
最も真剣に物事を考え、


体は本当は疲れていたはずだが、
疲れをほとんど感じない4ヶ月半だった。

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