これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

心の矢印

人と人が交わっている光景を見ていると、
二人の間に、目には見えない矢印があるのに気付く。


その矢印は、太さ、向きが様々だ。


父親、または母親と手をつなぎ、
足元がふらふらしながら歩いている小さな子供を、
いろんなところで目にする。


それを見ていると、見えない矢印が見えてくる。
どの子供からも、親に向かって、まっすぐで、
そして太い幅を持った矢印が延びている。


全面的に親に頼っているのが、よくわかる。


犬が、買い主に向ける矢印も、似たような形をしている。


そういう矢印が見えた時、
なぜか、心が暖かくなり、小さな感動を覚える。


夫婦間でも、矢印が存在する。


片一方は強い矢印が相手に向いているのに、
一方はそれほど強くない矢印関係。


双方、矢印の向きが反対方向の夫婦。
この場合は、危険な状態であり、
離婚の危機がある関係に見える。


当然、お互いに相手方向に矢印が向いている夫婦もいる。
それも、すごく太い幅の矢印の場合は、
強い絆で結ばれている夫婦と言える。


私たち夫婦は、
出会った時の、直感が変ることなく、
結婚後も、相手に向かうブレない矢印が存在していた。


だけど、
その矢印を向ける相手が消えてしまった。


相手がいないことで、
矢印はどこを指せばいいのか戸惑っている。


妻に代わる、矢印の向ける先を、
見つければいいのだろうが、
それは、難しい。


将来のことを言い切ることは出来ないはずだが、
この件に限れば言い切れてしまう。


私は、矢印を持たない人間になったようだ。


しかし、
外で対象物が見つからないのであれば、
内に目を向ければいい。


心の中には妻がいる。
リアルとは違うので、少々物足りないが、
そこは、我慢しよう。


矢印は存続する。

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