「本能」と「笑いのツボ」
夕方のニュースを見ていて、
サルとカラスの喧嘩を見た。
サルが、
家庭菜園で育てられていたスイカを食べたり、
監視カメラを破壊したりして暴れていた。
そして、サルが木の上で休んでいたところ、
このあたりを根城にしているカラスが現われ、
サルを威嚇し始めた。
その時、見守る住民から、「カラス頑張れ」という声援が飛ぶ。
防戦一方のサルは、木を下りて、姿を消した。
専門家によると、
カラスはこの近くで巣を作り、
子育てをしていた可能性があると指摘している。
普通、カラスは嫌われることが多いが、
今回は、サルに畑を荒らされたこともあり、
住民は、カラスを応援していた。
サルとカラスの喧嘩の様子も興味深かったが、
それよりも、「カラス頑張れ」という住民の声が面白かった。
何が面白いのかと聞かれても、
文章で表現するのは難しいが、
体が反応して、フッと笑ったことは間違いない。
笑いのツボは人それぞれで、
ツボが近い人どうしは相性がいいと、私は思っている。
妻もこの映像に反応して面白がり、
何らかのコメントを発していたと容易に想像出来る。
笑いのポイントがずれている相手とは、
基本的に、相性は良くないと感じている。
夫婦の場合、ほとんどの時間、顔を合わせているのだから、
相性が良くないと困る。
笑いのツボが近いことは、
本能と本能の関係が良好だということで、
妻が笑っている姿を見て、私も面白いと思うことが多く、
その時が、妻との相性の良さを感じる瞬間だった。
「笑いのツボ」が似てることは、
夫婦生活の持続性に、お墨付きをもらっている感じがしていた。
妻がいなくなり、
二人で面白がる時間はなくなった。
妻が反応すると思われるシーンが目に入った時、
妻が笑っている姿が頭に浮かぶ。
そして、
その後に、いない妻を、認識させられる。
妻は、
本能的な動きに反応して面白がることが多く、
ほぼ本能で動く動物に反応することは言うまでもないが、
普段は本能を隠している人間であっても、
本能が出てしまっている動きには、大きく反応して笑っていた。
一人で笑う私の生活は、あと何年続くだろうか。