これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

シンプル

妻はオーソドックスな人だった。


テレビでの、現代の恋愛ドラマは見ることはなく、
昔の洋画を見るために、スカパーの契約をするほどだった。


最近の映画は、アクションものが多い印象で、
暴力的なものを嫌う妻にとっては、対象外となっていた。


アクションもの以外も、
最近の映画は、昔の洋画に比べて、
展開テンポが早いものが多くなっており、


また、ストーリーがシンプル過ぎると、見る人がいなくなるので、
刺激があり、爽快感あふれる物語が多くなっており、


ゆっくりした男女の
シンプルな感情のやり取りのある恋愛ものを好む妻にとっては、
やはり対象外となっていた。


そういうことから、
妻は、60年代、70年代の洋画ばかりを見ていた。


こういう人には、今までに出会った事がなく、
とても新鮮に思えていた。



妻は行動が直接的だった。
接していると、小さな女の子が目の前にいるような感覚があった。


複雑な人間関係は苦手で、人との接し方も上手くなかった。


こういう妻を見ていると、
「守らなくてはならない人」だという思いが、
私の心を突き動かした。


妻と出会ったことで、
「妻を守る」という、はっきりとした人生の目的が出来た。


あちこちに分散しがちだった私の志向は、
一つに収束して行った。


まちがいなく、
これは、「生きがい」を持てたという思いだった。


しかし、
妻の死は、
「妻を守る」という、唯一の私の目的を消し去った。


守りたい人がいる人は、幸せだと思う。

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