私が、それを聞いて、心が温まる言葉の中に、
「不器用」という言葉がある。

普通は、
「器用」が “優” で、
「不器用」が “劣” と考えられる。

不器用な人は、
特に会社などでは、注意されたり怒られたりすることが多くなる。

でも、
私の場合は、なぜか、「不器用」の方が “優” になる。

妻が、不器用な人だったからだろう。

不器用な人の中に、ピュアな印象の人が多い感じがする。

妻もピュアな人だった。
そして、不器用だった。

ずるい人や、効率を求めすぎる人を嫌った。

私は、妻以外でも、不器用そうな人を見ると、
自然と助けたくなるし、味方になってあげたくなる。

不器用な佇まいを持った妻は、
何事にも一生懸命で、
ただ、臨機応変に掛けており。
見てると、助けたくなり、味方になってあけたい人だった。

妻は、一度決めたら貫き通すところがあった。

私に対しても、“好き” を貫こうとしていたように思えた。

妻を見ていると、
“浮気” とは無縁な人にさえ見えていた。

それが、伝わってか、
無意識のうちに、私も、“浮気” とは無縁な人になっていた。

“不器用” が透明感のある妻を生み、
その様な人と接していた私は、
いつの間にか、心が浄化されていた。

心が浄化された私は、
気持ち良く毎日を送れていた。

しかし、
今は、その “不器用” に接することのない生活を送っている。

助けたい人がいない生活を送っている。