訳あり○○
私は、
倹約家なのか、節約家なのか、それともケチなのか。
スーパーでの買い物は、
しっかりチラシでチェックしたうえで買っているし、
複数のスーパーのレシートで、商品別の価格を比較して、
傾向を掴むこともしている。
なるべくコンビニでは買い物をしないようにしている。
外食の時は、茶碗に残った米粒は、
一粒も残さずに食べるのを、決まりとしている。
戦中派でもないし、戦争を経験している両親からしつけられた訳でもないのだが、
知らぬ間に、そういう習慣がついている。
宅配は一度も使ったことはない。
電気製品は、事前にネットで調べたうえで、複数の量販店を回り、
買物の失敗はしないようにしている。
会社員時代、飲み会で夜遅くまで酒を飲み、
電車がなくなり、タクシーを使うこともあった。
家の近くまで来た時、
運転手の隣にある走行メーターを、後ろから覗き込み、
金額が切り替わる前のタイミングを見計らって、
「ここでいいです」と言い、
残り100メートルほどの距離を、歩くことが度々あった。
こういう倹約の話は、会社の同僚や知人にはしないことにしていた。
つまらない人間と思われたり、
貧乏性だと見られるリスクがあると思われたから。
でも、
お金を出す価値があると判断したら
金額が張っても、迷いなくお金を出すところはあった。
物への欲求は高くはない人間なので、
そういう場面は、めったになかったけれど。
スーパーでの買物の話に戻るが、
店に並んでいる商品の中で、「訳あり○○」という表示を見ることがある。
見た目や形が不揃いであるため、普通は市場に出回らないものや、
賞味期限が近いものなどがあるが、
味が悪い訳ではない。
形が整ったものよりも、格段に美味しいものもある。
私は、この「訳あり」という文字を見ると、
自然と心が動く。
人で言えば
“顔立ちより顔つき”ということか。
ここで、妻の話に飛ぶが、
妻は、正に“訳あり”人間だった。
不器用であり、一般の人と少し違った行動様式があった。
そんな妻に、私の心は大きく傾いた。
24年半、そんな妻と生活を共にして、
本当にお買い得な、唯一無二の、
これ以上ない買物が出来たと思っている。