これからも妻といっしょに

がんで無くなった妻。その魂と引き続き共に歩みます

癌 告知から亡くなるまで 妻と過ごした137日 ③

5月24日、私は訪問看護ステーションに行き、
妻の末期癌のことを伝え今後の看護について相談した。


相談中、何度か涙が出そうになったがぐっとこらえて踏みとどまった。
看護が必要になった時に連絡するということで相談を終えた。


5月25日、夜、ふたりでベッドに並んで埋葬方法について話をした。


妻は散骨を希望した。


お墓に入ると、知らない人がいっぱい居て怖いとのことで
絶対嫌だと言う。


だが散骨は拝む場所が無くなる。


そこでお骨を部屋の中に置く手元供養という形の提案をした。


体は無くなるが魂は生き続ける。
骨を部屋に置いていたらずっと一緒にいられる。
今は終わりの始まり。
お互い生まれ変わった時、異なる名前・人間として
再び出会い、結婚するのでは、という話をした。


妻はすぐに反応して、嬉しそうにその形を受け入れた。


5月26日、妻は朝から自分の部屋の整理を始めた。


妻の部屋はゴミ屋敷のようになっており、
以前何度も掃除するよう促すが、一切受け入れなかった。
私が代わりにやってやると言っても、
現状のままであることにこだわった。


妻は自閉症の一つのタイプであるアスペルガー症候群の傾向があった。


アスペルガーは、一見自閉症にみえない自閉症ともいえ、
勉強なども人並み以上にできることがあるが、
人との接し方のルールがわからず
無邪気に周囲の人に対して迷惑なことをしてしまったり、
こだわりが強く、整理が苦手 等の特徴がある。


そういう 特徴があるため、妻は外での生活で、生きづらさを抱えていた。
部屋の整理が出来ないのも、そこから来ていたのだと思う。


しかし、妻は3日間整理をし続け、少しだけ部屋がきれいになった。
妻名義の銀行口座、スカパー契約、等の手続きも一気にやり終えた。


妻の姿を残そうと思い、整理をしているところを、ビデオカメラで撮影した。


そして、妻に「何か言って」と声をかけると、


妻はこちらを向いて
「のらちゃん、ありがとね」と答えた。
(“のらちゃん“ は犬が大好きな妻の私に対する呼称である。)

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